【臨床実習生が知って損をしない知識】態度編②

彼女との約束よりも提出物の期日は守れ!
そもそも仕事とは期限で成り立っている。
──「いつか」案件を処理しましょう。
──「いずれは」先方と会って協議してください。
──「ゆくゆくは」顧客と。。。
そんなバラ色の仕事が成り立つ職場があったら、ぜひ教えてもらいたいもんです。
世の中はほとんどすべてといっていいほど、タイムリミットありきで無数の案件が動いているんです。
学生だからルールを守らなくても許されると思いますか?
臨床実習ではあなたは周りから半分社会人として認識されていることを覚えておいてください。
心配しなくてもムチャな期限を投げられることはありません。
普通はSVからはこの期日で可能かどうか、打診の形で訊いてくるはずです。
それに対してあなたは充分やり遂げられる期日を設定すればよいのです。ただしそれがレポートの提出の場合、後回しすぎてもいけません。1~2回のチェック&再提出も考慮に入れた設定が必要です。
そうしてあなたも納得の上で決定したタイムリミットですから、基本的にあなたには厳守する義務があるわけです。
ただ、厳守したくてもそれが困難な事が起こる場合もあるでしょう。
例えば、担当患者が熱発などの体調不良によってリハビリが休みとなり、予定していた検査測定ができず、期限までに必要な評価が不可能なケースです。
そういう時はSVに事情を説明の上、期日を変更してもらうために打診すれば済む話です。
最悪なのは言うべきタイミングで言わずに当日になってギブアップすること。
どんな理由があってもそれではドタキャンと同じこと。
期日を守らなかったことより、前もってSVに対して報連相ができなかったという罪状がついてくるのです。
高確率で『即死』する言い訳とは?
この言ってはいけないデスワードを口にし、爆死者の列に加わる学生が後を絶たないのはなぜか?
私が教員を続けていたころから今に至るまで解き明かせない最大の謎でした。
そのデスワードとは──
『プリンターが突如故障し、レポートを印刷して持ってくることができませんでした』
キャアアアアアアアアア!!
想像するだけで恐ろしい。学生どもはそのセリフをどんなツラで口走っていたんでしょうか。。。
まさかドヤ顔?
そんな陳腐な言い訳に対しては「そう、災難だったねえ、僕がプリントアウトしてあげるからデータでちょうだい」で詰みです。1手詰み。
完全にレポートそのものができてないってバレバレなのに──
「じゃあPCがオシャカになったっていえば大丈夫じゃね?」
って思っている学生君。
いいですよ、言ってみても。
ただし絶対に私は責任は取りませんけどね。
SVとの人間関係が行き詰ったときは?
つらい時こそ視点を変えて考えてみよう。
SVと人間関係がうまくいかず、敵認定される──。
──想像するだけでうそ寒くなるようなストーリーですが、セラピストも人間です。すべての人が豊かな包容力の持ち主ではありません。
私も学生の頃、SVとの関係が破綻にまで陥った経験があります。まあ自分の場合は、それまでの座学を舐めきっていたツケが回ってきただけのことですが──
ただでさえプレッシャーを感じながら実習に臨んでいるうえに被せてつらく当たられると、どうしてもこの場からエスケープしたくなりますよね。
まずは「どうしてこうなった?」のか掘り下げて考えてみましょう。現在のSVの態度は自分に原因があるかもしれません。原因がわかり、自らの行動を変容することができれば風向きも変わるかもしれません。
それでも事態が好転せず、耐えられないと思ったら、遠慮なく学校の実習担当の教員か担任のどちらかに相談してください。
一番最悪なのは、一人で抱え込んで限界まで耐えることです。
限界まで来ると正常な判断がもはや不可能となり、頭の中はこの状況から一刻も早く逃たいという考えしかなくなります。
教員や学校の立場に立って考えると、今回の実習で合格の判定が下らなかったとしても学生が実習最終日を何とか迎えてくれていれば、まだ挽回の余地はあります。
再実習か、次の実習があれば今回は判定留保で次の結果次第で合格、という可能性は残されるわけです。
しかし学生自らがドロップアウトしてしまうと、そういった可能性を断ち切るようなもの。そもそもカリキュラムで定められた卒業条件を満たしていないわけで。
私が心身ともに限界になる前に学校でも教員でも利用できるものは利用してくださいというのは、そういう意味なのです。
ハラスメントに対しては断じて泣き寝入りは無用である。
と、ここまでは実習生活をよりよいものにするための建設的な話。
学生も個性をもった立派な人間ですが、理由もなくその人間性を踏みにじる行為を受けたとなると話は別です。
私の記憶で折り紙つきのものは、SVから男性器の俗称をあだ名として付けられ、実習期間を通して施設内外を問わずにそのあだ名で呼ばれ続け、返事をするよう強要されたというものです。
その学生はまじめな性格でしたが、そうでなかったとしても、そのような屈辱を与えられる理由はどこにもないはずです。
前述したとおり、セラピストも一介の人間です。聖人的な人間性の持ち主もいれば最低の○ズも存在するのです。
学生にとっての最大の不幸は、SVが後者のような人間に当たってしまった場合ですが、それを第三者に報告するときの注意点は、決して感情的にならないこと。
自分の人としての尊厳を脅かされていながら冷静でいるのは困難だと思いますが、感情をあらわにして話をしたとして、相手はあなたの話の内容を吟味するよりも、あなたを落ち着かせることに意識をそがれてしまい、決して満足のいく結果にはならないのです。
そうならないためにも、淡々と自分が受けた屈辱の事例を、前後の流れも含めて詳細に、それが起こった日時やその時の会話などに立ち会っていた人も含めて記録してください。
貴重な臨床実習で、こんなアドバイスが活きることがなければ何よりなんですが。。。
もう一つ私が忘れられない事例を紹介しましょう。もう時効にもなっているでしょうし。
ある施設で、実習生を歓迎する飲み会が催されたのですが、その席で学生の何が地雷となったのか、実習先のセラピストが学生を殴ったというのです。
酒の上の出来事とは言え、またどんな事情があっても殴った方が負けです。
報告を聞いた私は、殴られた学生の方もそこでの実習はやりにくいだろうと思い、別の施設での仕切り直しを学生に提案してみたのですが、学生の返答はノーサンキュー。私にとってはその返答もですが、理由も想定外のものでした。
理由のひとつ目は、翌日にそのセラピストが正式に謝罪してきており、学生自身も特にケガを負ったわけではなく、それを受け入れたからというもの。
ふたつ目は、自分はまじめに実習に臨むつもりであるが、殴ったことが施設側にとっての引け目となっている限り、絶対にこの実習が不合格になることはありえず、こちらとしてはアドバンテージを最大限に利用させてもらう、と。
ふたつ目は内緒ですよ、とまるでいたずらっ子のように笑う彼の横顔をみながら私は何も言えず、自分がこいつのSVじゃなくてよかったと、実際のSVに同情すら感じていました。
ふと思ったんですが、この学生、酒の席でセラピストを怒らせるところから筋書き通りだったりして。もしそうだとすれば、今頃大物になっているんじゃないでしょうかねw
まとめ
ここまで読んで、実習に出たらひどいSVばかり、と思われた方もいらっしゃるでしょう。
しかし心配ご無用。自らの業務時間を割いてでも学生指導しようという人たちです。
本当に心から尊敬できるSVの方が多いと言っていい。
中には実習から始まって一生の付き合いに発展する事もあるんです。
「実習は辛い」と暗示にかかっているあなた、ある意味でそれは否定しませんが、それに見合うだけの財産となる可能性があることも心に留めておいてください。
もうひとつ元教員の立場から。
私は教員として多くの実習地で学生指導を行ってきましたが、「今の実習、本当に楽しいです」と、いい笑顔で言っている学生が不合格になった例は皆無です。
施設のお客さんとしてではなく当事者として患者さんの事を最優先に臨めば、理学療法士の仕事の魅力が理解できると思います。
あなたが実習に来ている時点で、もうこちら側の世界に既に足を踏み入れていると自覚してください。
あなたにとって良い出会いがありますように。
まとめのまとめ
❶自分で決めた期日は必ず守る。
❷「プリンターが壊れた」は死亡フラグ。
❸最終日まで実習継続する、あらゆる努力をする。
❹ハラスメントには淡々と立ち向かおう。
❺実習生はお客さんではなく、当事者であることを自覚する。
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