日常でも役に立つ!コミュニケーション技術【その①】

日常でも役に立つ!コミュニケーション技術【その①】

 

最近、気になる話を時々耳にすることがあります。

私はケアプランセンターに伺ったり、地域の多職種連携会議などの交流で、ケアマネジャーさんと話をする機会が多いのですが、「セラピストの先生って、コミュニケーションが苦手な人が多いですよね」と言われたことが一度ではなく、そのたびに自分の耳を疑ったものです。

だって理学療法士は、リハビリテーションの一環である理学療法を患者さんに行うのが仕事です。

相手の訴えをていねいに拾い、自分が行っているメニューについて分かりやすく説明することが、信頼を勝ち得るための基本的な能力だと思っていました。

ですが、それは今だから言えること。

よくよく思い出してみれば私も若かりし頃、自らのコミュニケーション能力の低さから、患者との信頼関係を破綻させてしまった光景が幾度あったでしょう。

しかし『能力』とは本来、磨くことによって向上できるものです。

「どうせ自分はもともと話ベタだから」とあきらめずに、スキルとしてとらえてみませんか?

きっと日常での意思疎通にも役に立つはずです。

 

コミュニケーションの基本

まずはコミュニケーションの最小サイクルを覚えておきましょう。

  1. Aが考えを伝えたいと思い、言葉を発する
  2. Bがそれを聞き、意味を理解する
  3. Bは理解したこととそれによる自分の考えをAに返す
  4. AはBが理解してくれたことを知りBの考えを察する
  5. Aが何らかの考えや感情を抱く

つまりこの1~5までのフェイズが完了しないと、コミュニケーションが成立したとはいえないのです。

特にLINEなどのコミュニケーションツールで、このサイクルの途中でやりとりを終えている人をたまに見かけます。

あなたはどうですか?

独りよがりの未完コミュニケーションで実は相手を困惑させてはいないでしょうか?

メールやLINEは後々で確認できますので、一度チェックしてみてくださいね。

 

円滑なコミュニケーションのための基本的姿勢

適切な距離で話しかけているか?

個人差や男女差があるので、適度な距離感を測るのは難しいように思われがちですが、文化人類学者のエドワード・ホールの分類では、

 

①密接距離(~45cm)

お互いの体温や息遣いが感じられる距離。スキンシップによるコミュニケーションが主になる。

 

②個体距離(45~120cm)

手を伸ばせば触れることができる距離。友人など親しい相手とのコミュニケーションをとる際の距離。

 

③社会距離(120~360cm)
手を伸ばしても触れることができない距離。知人や同僚との会話がここに相当するが、親密度によって距離が変化する。

 

④公衆距離(360cm~)

演説やセミナーの距離であり、1対1でのコミュニケーションには不適である。

 

――この中では③がもっとも適切と思われますが、どのくらいの距離が快適にコミュニケーションできるのか、自分や周りの人で確認すると、意外な差があるかもしれませんんね。

 

目の高さで話をしているか?

特に相手が車いすに座っている場合は、どうしても下目使いとなって威圧感満載になってしまいますので注意が必要です。逆にこちらの目線が低すぎると、相手はかしずかれているような印象を抱き、人によってはコミュニケーションに集中できなくなってしまいます。

あと、高さだけでなく、相互の位置関係も快不快に影響します。

例えば椅子に座るときに机を挟んで真正面に対峙すると、ガッツリ傾聴のアピールになりそうだと思いがちですが、ムダに圧迫感を感じ、気分はもう取調室w リラックスどころか長時間の滞在は苦痛となってしまいます。

対決の位置関係

といって、横並びに座るのは前述の密接距離となってしまい、相手を落ち着かなくさせてしまいます。

親密の位置関係

相手がリラックスしやすいのは、お互いに斜め前方の位置関係です。真正面から間合いを外すことで、適度に目線も外すことができるため、緊張もしにくいでしょう。

対等の位置関係

 

準言語的・非言語的コミュニケーションに注意を払っているか?

コミュニケ―ションとは、相手に情報を伝達する行為というのは言わずもがなですが、その情報は言葉そのものの持つ意味により伝わる言語的(verval)コミュニケーション、言葉の抑揚や強弱、長短などの聴覚的情報の準言語的(semi verval)コミュニケーション、表情やしぐさ、アイコンタクトなどの視覚的情報の非言語的(non verval)コミュニケーションに分類されます。

バードウィステルによると、コミュニケーションによって相手に伝わるのは、言語的コミュニケーションだけでは35%に過ぎず、あとの準言語的・非言語的で65%が伝わると唱えています。

さらにメラビアンはさらに極端で、言語的 7%、準言語的 38%、非言語的 55%と述べています。

つまり、言葉のそのものよりも、それ以外の聴覚・視覚的な情報の方が、相手の印象を大きく左右するということです。

逆に、準言語的・非言語的コミュニケーションをコントロールできれば、コミュニケーションだけでなく、信頼関係の構築にもプラスとなります。

現在、若い世代に広く日常的に使われているメールやSNSなどのツールは、極端に言語的コミュニケーションに限局された伝達方法となってしまい、メラビアンの法則に基づくと、こちらの意図の1割も伝えられないということになってしまいます。

しかし彼らはある工夫によって、不足分をうまくカバーしています。

 

それが、顔文字ですd(^_^o)

顔文字を語尾に添えることにより、非言語的な役割を発揮します。

最近では準言語的な役割の「w」も使われていますよね。

試しにいろいろ使って印象を確かめてみましょう。

 

相変わらずバカだね。

相変わらずバカだねw

相変わらずバカだねσ(^_^;)

 

どうです、少なくとも後のふたつは冷たい印象がやわらくなり、悪口っぽい感じは薄れていませんか? 私は40代後半ですが、SNSツールではこういう文字を多用しています。

そうすると、私よりアッパーエイジのオジサマ達から「いい歳をして若者に迎合するな!」とか「日本語の劣化を助長している」というお説教をたまに浴びせられますが、彼らも同じように(笑)という文字を用いているので、まったく問題ありませんww

 

ていねいな言葉で話しているか?

私は仕事で利用者さんと話す際は、必ず敬語、すなわち丁寧語と謙譲語のみで話しています。

敬語だとよそよそしい感じがして距離が縮まらない、という人もいますが、私は敬語を使うことで信頼関係構築の妨げになったことは一度もない、と思っています。冗談も言葉を崩さずたたけますし。こちらが親しみを込めてタメ口を話しているつもりでも、先方にしてみれば若造が馴れ馴れしい口をきいていると思っているだけかもしれませんよ。

また、ていねいさを心がけるだけでなく、言い回しにも工夫すると、同じ内容でも相手に対する印象がまるで違います。

例えば、「勝手に歩かないでください(否定形)」よりは「声をかけたら歩きましょう(肯定形)」の方が非難がましい響きが和らぎますし、さらに「私が声をかけたら、立ち上がっていただいてもよろしいですか?(依頼+疑問形)」となると柔らかい印象になります。

セラピストが患者さんに対して時々言いそうな「まだ一人で廊下を歩いてはいけませんよ」という指示も、「もう少しリハビリを頑張れば、一人でトイレや風呂に行けるようになりますよ」というふうに切り替えるだけで、プラスなイメージになるだけでなく、リハビリに対するモチベーションアップの効果が期待できます。

これは子育てしている方にも胸に手をあてて考えてほしいところです。「○○しちゃダメ!!」と否定形で命令していませんか?

 

 わかりやすい言葉を使っているか?

人の話を耳で聞く時、脳内にはひらがなのみの情報が入り、そのうえで漢字変換されるわけです。

我々が日常的に使用している専門用語は音読みの熟語であることが多く、患者さんの脳内で変換エラーとなる可能性が高くなり、言葉の意味を理解できないというわけです。

そこで理解できなかったことを訴えてくれる相手ならいいのですが、「理解した」ふりをする方が少なくなく、理解できていないことに気づかないまま話を進めてしまう事もあるので、注意が必要です。

 

伝わりにくい言葉専門用語・・・・・不全麻痺、補装具

独特な言い回し・・機序、予後、亢進

看護的表現・・・・部位、左右差、拍動

 

実際のやり取りでは、相手がどこまで理解できたかを要所要所で確認するクセをつけるようにしましょう。

 

まとめ

今回はレッスン1として、言語的・準言語的・非言語的コミュニケーションの違いと用い方について述べました。繰り返しになりますが、以下にコミュニケーションにおいて押さえておくべき項目を挙げておきます。

 

 丁寧な言葉を話す

 難しい言葉を使わない

 理解したという反応を示す

 患者が理解しているか確認する

 ふさわしい環境を整える

 空間的位置関係に注意を払う

 微笑む

 傾聴していることを態度で示す

 沈黙を効果的に用いる

 身体接触を適切に用いる

 

特に非言語的コミュニケーションは相互の位置関係も範疇となりますので話し合いの場のセッティングから相手をリラックスさせることに全霊を傾けてください。

あとは丁寧語とわかりやすい言葉を選んでいるか。偉そうに難解な言葉を使っているからといって、相手はあなたを尊敬のまなざしで見つめてはくれません。

本当に頭のいい人というのは、万人に分かりやすい言葉で納得させられる人です。そのことを肝に銘じて言葉を選んでください。


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