訪問看護ステーションはセラピストにとってお勧めの転職先なのか?

訪問看護ステーションはセラピストにとってお勧めの転職先なのか?

──という表題で記事を書きはじめておりますが、私自身の在宅リハでの経験は2003年からと長く、非常にやりがいのあるフィールドと思っています。

在宅リハでは、セラピスト自身の眼でみた問題点への取り組みが、利用者それぞれが生活で感じている不利益の解消につながるからです。

世間のリハに対するニーズも右肩上がりで高まっており、これからまだまだ我々セラピストの力が発揮できる分野だと思われます。

しかし、介護保健改定による、訪問看護事業の環境の変化が非常に気になるところ。

この記事を読んで役立つ方!

就活で訪問看護ステーションを考えている

今後訪看で安定した収入を得られるか?

訪看ステーションの将来は安泰なのか?

こういう疑問・不安を抱えている方はこの記事が役立つと思います。

訪問看護ステーションをとりまく現状

理学療法士

求人サイトを見れば、施設での条件に比べると、

「時給3,000〜4,000円急募!」

──などと、かなりの高収入を提示している事業所がちょくちょく募集しています。

こういうのを見ると私などは、

この事業所ヤバくない!?

と心配になってしまいます。

なぜなら、もう訪問看護ステーションはかつてのように、リハビリ単独では儲け辛くなってきているから。

実際に介護保険改定では、看護師の報酬は増えている(微増ですが)一方で、リハセラピストの基本報酬は毎回の改定で右肩下がりの状況です。

2018年の改定では、リハビリのみの案件も、最低3ヶ月に1度は看護師が訪問のうえ計画書を作成しなければならなくなったため、セラピストだけで案件を回すことができなくなってしまいました(人件費がかさむ)。

さらに2021年改訂での要支援の報酬低下はかなりのもので、要支援の訪問リハビリはセラピストに訪問させず、看護師に行かせよう、という事業所が急増しています。

にもかかわらず、この好待遇でセラピストを応募している事業所は、よほど訪看事業で収益を上げているか、そうでなければよほど今後の見通しを甘く見ているかのどちらかでしょう。

訪問看護ステーションの将来の見通し

これからの介護保険報酬はどうなる?

現時点までのところ、看護師による訪問看護基本報酬は徐々に上がってきました。

これは国の訪問看護に対する期待値の表れでしょう。

しかしセラピストによる訪問看護基本報酬は徐々に下がってきています。

その理由は次項で述べるとして、ここ10年で一度も増加がみられないところから、今後、訪看ステーションでのセラピストによる報酬は、減ることはあっても増えることはまったく期待できません。

1訪問あたりの収入が減るということは、セラピスト自身の給料に直接響いてきます。

求人サイトをみても、昨今の訪看ステーションの給与やパートの時給は、減少する傾向にあります。

前述のようにびっくりするような条件の事業所があったとしても、それほど長続きはしないでしょうね。

国が求める訪問看護ステーションとは?

さて、前述した通り、国が訪問看護ステーションにかける期待は、非常に高いと私は感じています。

その根拠は、看護師の訪問業務による基本報酬が、毎回の改訂で上がっていることからも見て取れます。

おそらく国は、難病やがん末期などの終末期医療を、病院から自宅へと移行させようとしているのではないでしょうか?

実際に厚生労働省は、中等度~重度介護者やターミナル(終末期)ケアへの訪問看護ステーションによる対応強化が必要であると謳っており、もともと訪問看護は介護保険優先ですが、下図の疾患に対しては、医療保険での請求を認めています。

末期の悪性腫瘍
多発性硬化症
重症筋無力症
スモン
筋萎縮性側索硬化症
脊髄小脳変性症
ハンチントン病
進行性筋ジストロフィー症
パーキンソン病関連疾患
多系統萎縮症
プリオン病
亜急性硬化性全脳炎
ライソゾーム病
副腎白質ジストロフィー
脊髄性筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
後天性免疫不全症候群
頸髄損傷
人工呼吸器を使用している状態
厚生労働大臣が定める疾病等

実際に私が働いているステーションでも、訪看ステーションとかかりつけ医が連携を取りながら、看取りを行う事例が増えているように思います。

訪看「リハ」ステーションは淘汰されていく?

悩む

くりかえしになりますが、ここ10年間の介護保険改定をみても、セラピストの基本報酬は、低下の一途をたどっています。

2021年の改定では、要支援者のセラピストによる訪問は1回あたり10%の減収、さらに1日3回以上の訪問だと、なんと50%の減収を余儀なくされています。

理学療法士や作業療法士などがスタッフの大半を占める、いわゆる訪問「リハ」ステーション事業者にとっては、かなり大きな痛手でしょう。

私が今までの好条件でのセラピスト求人では長続きしないだろうと言ったのは、そういう理由です。

さらに言うと、2020年11月の介護給付費分科会で、訪看ステーションの人員基準に、

「訪問要員の6割以上は看護師であるべし」

という条項を設けよう!という話が急浮上して、業界に激震が走りました。

特に看護師常勤2.5人というそれまでの人員基準を最低限クリアさせて、あとはセラピストだけで収益を上げていた、いわゆる「訪問リハステーション」にとっては死活問題です。

当然POST三協会で猛反発が起こり、署名運動まで繰り広げられました。

最終的にはその人員基準は退けられましたが、私が思うに、三協会程度の拒絶反応程度で、厚労省を動かしたと考えるのは相当に甘いと思うんです。

まあ国会議員あたりからの圧力があったのではと私は踏んでいるんですけどね。

ですので、この6割人員基準問題はこれで終わりではなく、再燃するのは間違いないと思います。

どうやら同じことを考えていて、今からセラピストの人員整理を始めている事業所もあると聞いています。

看護師には手厚くする一方で、セラピストに対してはこの扱い。

在宅での機能回復も、健康寿命や人生の質の向上には欠かせないはずなんですが、国の対応をみるに、

誰がそんなことをしてくれと頼んだ?

と言わんばかりです。

今後は訪問「リハ」ステーションにとっては、出口のない氷河期に突入することになりそうです。

今後は訪問リハビリのニーズは減る?増える?

国の締め付けか強くなってきているということは、訪問リハの需要は減っているんでしょうか?

とんでもないむしろ逆です。

私が住んでいる地域のケアマネージャーは、ますます在宅でのリハビリを希望する声が多くて、依頼する事業所を探すのにひと苦労だとのこと。

「うちのおじいちゃんがデイサービスに行きたがらないのに、どんどん足腰が立たなくなって困っている。」

という家族の悲鳴今や日常茶飯事。

全国的にフレイル(虚弱)人口は増加しており、そんな中で在宅リハが強く求められているのは当然のことで、国も実態を把握しているんです。

今後訪問リハビリテーション業務を担っていくのは?

では国はその役割を誰に担ってほしいと思っているんでしょうか──?

それはクリニックや病院、介護老人保健施設からの訪問リハビリです。

業界ではそれら医療法人に属する訪問リハを「みなし指定」と呼んでいますが、文字通り基本報酬を得るだけなら、自治体への書類上の申請は必要ありません。

その他、人員基準についても看護師の規定はなく、「POSTが適当数」とだけ記載されており、2021年の改定でも基本報酬が15点も増額されていることから、在宅でのリハビリ業務は、みなし指定による訪問リハビリテーションに託したいという意図がみてとれます。

それでも訪問看護を選びたいあなたへ

ここまで訪問看護ステーションについてマイナス因子ばかり述べてきましたが、それでも自分は訪問看護ステーションに就職したい、という方は、以下の何点かに留意すればどうでしょうか。

訪看ステーションに就職する際に留意すること

  1. すでに給与面で好待遇の場合は、今後の昇給をあきらめる(むしろ下がることを覚悟する)。
  2. スタッフが療法士より看護師が多いか確認する。
  3. 管理者もしくは事業所のリハに対する意気込みを知っておく。

冒頭でも述べましたが、訪問業務はセラピストとしての介入が、直接的に生活改善につながるため、非常にやりがいがあるうえ、その後にどのフィールドで働くにしても、セラピストとしての視野を広げてくれるため、だれもが一度は経験してほしい現場です。

ただ、やりがいと生活の糧としての両立は必要ですので、私の知り合いが訪問業務につきたいと言ったとき、私としては、訪問看護ステーションよりもみなし指定の方をお勧めすると思います。

これから訪問業務を考えている方の多くが、この記事が役立ったと思ってもらえたら幸いです!

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