【症例レポート】考察の書き方──その❸(最終)

読み手に伝わる文章とは?

さて、今まさに考察を書こうとしているあなたが悩むことは、「何から書こうか」ということではないでしょうか?
それも大事ですが、まずは読み手に
「スラスラ読めて気持ちいい!」
と思わせることが大切です。
あなたは今までに、読むだけで異様に消耗する文章に出くわした経験はありませんか?
──読んでも内容が入ってこない理由は3つ。
❶誤字脱字が多い
❷内容が荒唐無稽か論理が飛躍しがち
❸文章のリズムが悪い
❶❷はまあ事故修正が可能な問題として、今回は❸について述べていきます。
自分なりの文章のリズムを作ろう。

さて、『読ませる文章』とはどういったものか──
それはリズムが一貫した文章のことです。
よく『起承転結』という表現が使われますが、それもその一つです。
例として、ひとつの文章の組み立てを挙げますので、参考にしてくださいね。
【序論】変化した活動レベル
【主張】活動の変化と関連性が高いと思われる(検査)数値の変化をあげる
【理由】その数値の変化を挙げた理由を運動・動作レベルの変化で立証する
【補強】書籍・論文をソースとして論拠を正当化する
例文も挙げておきますので、参考にしてください。
【序論】初期評価ではトイレ動作が近位見守りレベルであったのに対し、最終評価では自立となった。
【主張】Berg Balance Scale(以下BBS)項目中の立ち上がりと拾い上げが3→4、片脚立位とタンデム立位が2→3、両手前方と振り返りが2→4と変化した。また、両大殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋筋力が3+→4と向上している。
【理由】このことにより、特に起立を行いながらの下衣引き上げが介助なく行えるようになり、安定性、安楽性、安全性が向上したものと思われる。
【補強】横塚らによると、「両手前方」と「拾い上げ」は重心の前方移動であり、「振り返り」は前後左右の複合的な重心移動を要する動作で、共に下衣引き上げ動作に密接な関連性があるとしている。
ひとつのルールを繰り返すことで読み手は『文章のリズム』を掴むことができ、内容を吸収することに専念できます。
逆に一貫したルールがないと、読み手はどれが主張、もしくは理由なのか、特定することにエネルギーを奪われ、内容を理解する前に疲弊してしまいます。
どれだけいい内容でも、文章のリズムが悪いだけで、あなたの論旨が読み手に伝わらず、せっかくのあなたの努力もムダになってしまうのです。
まとめ

さて、限局的にではありますが、考察の書き方について述べました。
ひとつ忘れてはいけないのは、最終評価レポート作成するにあたり、実習指導者に『統合と解釈』と『考察』を別個に書くのか、それとも一緒にしてもいいのか、確認しておきましょう。
症例レポートの『考察』について、3部作でお送りしましたが、その意味と書き方について、本記事があなたの助力になればうれしく思います。
ではまた!
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