【受験生に告ぐ!】コロナ陽性で国家試験をフイにしないためには──

デルタ株が猛威をふるった令和3年9月の第5波が去り、人流は抑制されていないにもかかわらず、新規感染者数は減少の一途をたどり、10月半ばからは新規感染者数がゼロの県も珍しくありませんでした。
自粛続きの生活に辟易しきった日本人は、これまでの鬱憤を晴らすかのように街で物を買い、行きつけの店で料理や酒に舌鼓を打ちながら、
「もういっそこのまま新型コロナが収まってくれればいいのに!!」
「ひょっとしてもう新型コロナは終息すんじゃね?」
──などと、予測というよりは願望めいたことを考えておりました。
そんな庶民たちのささやかな願いをせせら笑うかのように、つかの間の安息は木っ端みじんに打ち砕かれることになります。
そう、オミクロン株によって。
乗り越えても乗り越えても姿形を変えて人類を脅かす新型コロナウイルスは、まるでエヴァンゲリオンの世界の使徒そのもの。
今度の新たな使徒は、殺傷力はさほどではないものの、感染力が前回のデルタ株の比ではなく、第6波が始まってわずか半月で第5波のピーク値を超えてしまい、2月に入って10万人にまで新規感染者数が急増してしまいました。

よりにもよって受験シーズンと重なってしまった、今回の第6波。
受験といえば、大学の入学試験だけではなく看護師や理学療法士、作業療法士などの各医療従事者の国家試験もちょうどこの時期。
厚生労働省の指針を読むと、最悪の場合は受験資格が取り消されることもあるようです。
これは大変なことになってきました──。
そういうわけで、今回は受験生の皆さんに、新型コロナをどう乗り切るかを一緒に考えていきたいと思います。
感染者と濃厚接触者
感染者と診断された場合、試験はどうなるか?

感染者とは、PCR検査か抗原検査が陽性となり、医師によって感染したと診断された人のことです。
感染者になると、発症日を0日目として10日間の療養のうえ、症状軽快して72時間経過して初めて、隔離解除となります。
試験当日の時点でに隔離が解除されていない場合は──
新型コロナウイルス感染症に罹患し、入院中、宿泊療養中または自宅療養中の受験者は、他の受験者への感染の恐れがあるため、受験を認めない。
令和3年度厚生労働省所管医療関係職種国家試験における新型コロナウイルス感染症対策について|厚生労働省
──つまり例外なく感染者は入場を認められず、追試などの代替措置の記載がないため、その時点で浪人が確定してしまうというのです。
これは是が非でも回避したいところ。
最近よく聞く「みなし陽性」とは?

急激な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、メディアでもよく取り上げられる「みなし陽性」という言葉。
これっていったい何のことでしょうか。
みなし陽性とは、検査を行うことによる医療機関の負担減の目的で、感染者の同居家族が発症した場合、検査をしなくても医師の判断で「感染者とみなされた」方のことを言います。
みなし陽性の受験の扱いについては明記されていませんが、感染者と同じくくりにされることから、この場合も受験は認められないと思った方がよさそうです。
というかそんな人入れてくれないでしょう。
どれだけ外では注意していても、家庭内ではどうしても無防備になってしまうため、もっとも起こりうる悪夢といえそうです。
濃厚接触者になっても試験は受けられる?
濃厚接触者の試験での扱いは?

感染者の受験は絶望的として、はたして濃厚接触者は受験することができるんでしょうか?
結論から言うと、答えはYESです。
ただし感染者予備軍としての扱いとなりますので、試験当日は以下の条件がオールグリーンにならないと、もれなく試験はフイになりますのでご注意を。
- 初期スクリーニング(自治体等によるPCR等検査)の結果、陰性であること
- 受験当日も無症状であること
- 公共の交通機関を利用せず、かつ、人が密集する場所を避けて試験場に行くこと
- 終日、別室で受験すること
なお、上記の1の証明はもちろん口頭ではダメで、陰性結果を確認証明するための用紙をダウンロードして記入したうえ、試験会場で提出する必要がありますのでお忘れなく。

用紙のダウンロードサイトはこちら。
令和3年度厚生労働省所管医療関係職種国家試験における新型コロナウイルス感染症対策について
濃厚接触者とは?

ちなみにどうしたら濃厚接触者になってしまうのか。
このあたりの定義も明確に知っておいた方がいいでしょう。
■濃厚接触者の定義
- 患者と同居もしくは長時間の接触があった
- 適切な防護なしに患者を看護した
- 患者の体液などに直接触れた可能性が高い
- 手が届く距離でマスクなしで患者と15分以上接触した
濃厚接触者となると、感染者と最後に接触があった日の翌日から7日間は健康観察期間となり、通勤通学も含めた外出全般を控えなければいけません。
定義の中で最も注目すべきなのは、1にもあるように、同居家族に感染者が出た時点で自分が濃厚接触者になってしまうということ。
試験直前の家族のコロナ感染だけは避けたいところですね。
受験生がコロナ禍でできること

さて、受験生が自主的にできる感染予防は、手指消毒やうがい、マスク着用など今までやってきたことですが、もっとも警戒しなければならないのは、同居家族が感染した場合です。
何しろ家族から感染者が出た日には最低でも濃厚接触者、最悪は見なし陽性となってしまうわけですから。
特に試験当日の2週間前からは、『特別警戒期間』と考えましょう。
なぜ2週間前からなのか──。
2週間以上前であれば、感染者となっても、試験までには隔離解除になるが、2週間を切ってしまうと、試験当日になっても感染者としての療養期間が終了していない、つまり試験が受けられない可能性があるからです
その『特別警戒期間』では、次の行動を習慣としてください。
- 手洗いは当然であるが、消毒用アルコールも携帯し、何かに触れたら必ず手指消毒する。
- 一人以外の時は、家でもマスクをする。
- 食事は家族とは時間差にするか別室で摂るようにする。
- 換気を定期的にする。
- 期間中は洗濯やゴミ出し(ゴミ集めも含む)、皿洗いを手伝わない。
- トイレが2か所ある家は、どちらかを自分専用として家族に協力してもらう。
以上の措置をとったとしても、家族から感染者が出れば濃厚接触者が確定するため、お金が許すなら、できれば試験までの1週間は、ビジネスホテルなどで家族からも自身を隔離してほしいところです。
「それはいくらなんでもやりすぎでしょww」
──と思った人。
この記事のお題を、もう一度読みましょう。
ヘタをすれば、年に一回の試験がフイになるんですよ!
最悪のシチュエーションを想定することも、医療に携わる者として必要な資質と肝に銘じてください。
それでは今回はこのへんで。
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