元教員が語る、失敗しない国家試験の対策法。

こんにちは。あっちゃん(@onlygreen1001)です。
セラピストを目指す学生達にとって、進級や臨床実習など、数々の正念場が存在しますが、最後の砦といっていいのが国家試験でしょう。
何しろ国家試験に合格しなければ、今までの苦労も就職内定もセラペストとしてのキャリアスタートも、全部パーになってしまうのですから。
実際に合格発表日までには、内定先でリハビリ補助として働いていて、不合格が確定した時点でロッカーやデスクの荷物をまとめて帰ったという、泣くに泣けない話も現実としてあります。
そもそも国家試験の合格基準はどうなっているのでしょうか。
問題数は一般問題160問+実地問題40問=200問
ただし、一般問題が1問1点なのに対し、実地問題は1問3点という配分がクセ者です。
ちなみに実地問題というのは、画像診断であったり、仮想の患者のアセスメントや治療法など、より臨床的な問題のことです。
そしてボーダーラインはというと——
総合計168点以上(280点中)・・・正答率60%以上
実地問題43点以上(120点中)・・・正答率36%以上
以上の2つを同時に達成できていないと、即不合格なのです。
上の条件で皮算用をしてみると。。
- 実地問題を取りこぼさず、全問正解して120点ゲット!
- 一般問題のノルマが48点(正答率たったの30%)となり、楽々試験クリア!
以上、国試対策終わり!!(適当)
——それは冗談として。
まあそれが出来れば、皆、なんの苦労もないわけです。
というわけで、元教員の私が、国家試験の攻略法を、出来るだけ論理的に述べて行くとしましょう。
タイムテーブルがない人は、すでに雲行き怪しいです。
世の中は様々な企画で回っています——。
製造、建設、サービス等々。。。
そしてそれぞれの企画には、必ず「期限」というものがついてくるのです。
企画の予定は、その期限から逆算して、各行程にさらに小期限を設定して組み立てていくわけです。
あなたも無意識のうちに、学校に9時までに到着するために、〇時〇分の電車に乗る。そのために〇時には家を出る。(中略)そのために〇時までには就寝する。
というタイムテーブルを頭の中で組み立てているのではないでしょうか。
この最低限の日常生活のタイムテーブルを実践できない人って、かなりヤバいですよね?
国家試験も一緒です。
とりあえず解剖運動生理からとりかかって、それができたら評価学やって、そこクリアしたら精神医学と臨床心理学をダブルで——
——無理ゲーです。
それはただの順番であり、またアテのないただの意気込みに過ぎません。
問題は、それらの科目にいつメドをつけるかなのです。
そのために、国家試験当日を最終期限とした、各行程の明確な期限が絶対に必要なのです。
タイムテーブルを作成することで、プロセス全体における現時点での立ち位置を、常に把握することができるのです。
過去問は早いうちにやっておく。
タイムテーブルは完成しましたか?
では早速、過去問題を解くことから始めましょう。
え?まだ勉強も始めていないのに、結果が出るはずがないって?
今はそんなのどうでもいいことです。
確かに年明けには過去問で9割程度の正答率は出してほしいですが、結果を出すのは今じゃなくていいじゃないですか。
過去問は最低でも10年はさかのぼりましょう。手元になければ学校に問い合わせればあるはずです。
あと、余裕があれば、模試の過去問もやってしまいましょう。
——どうです、惨憺たるあり様に、絶望的な気分になりましたか? ケケケケケ(悪)。
良かったじゃないですか、それが本番でなくて。
過去問をする目的は、いたずらにブルーになるためではありません。
複数の年度の過去問題に触れ、出題傾向を把握する
自らの弱点を浮き彫りにする
あと、正解でもまぐれで当たったものは容赦なく不正解にしてください。
勉強法のススメ。
さて、いよいよお勉強の始まりですが、あなたは何から手をつけようと思いましたか?
まずは基本を抑えたいし、出題数が半端なく多い、解剖・運動・生理かな?——
——その通りです。(PTOT)共通試験のうち半分の出題数を誇る(全体の4分の1)、それら三大基礎から始めるのは当然でしょう。
ただし、あまりに覚える内容が膨大になるため、漠然ととりかかるのはおススメできません。
縦のつながりだけでなく、横のつながりも意識せよ!
SNSやブログをされている方はよく知っていると思いますが、「タグ」という言葉を聞いたことはありませんか?
タグという言葉自体は、「札」とか「付箋」という意味なのですが、膨大な量の書類やデータを扱うときに、ひとつひとつの書類やデータに名前がついた「札」をつけておくわけです。
この行為自体はどちらかというとめんどうな作業ですが、後々の分類わけや整理が非常にやりやすくなるというメリットがあります。
例えば、写真のデータを整理する際に、「家族」「友達」「風景」「ペット」という風に分類分けしておけば、見たいときに探すという無駄な作業が省略できるでしょう。
それと同じだと思ってください。
ただ、タグ付けの目的は、整理のしやすくするだけではありません。
各科目(縦のつながり)の勉強だけで完結せず、神経解剖⇔神経生理⇔脳神経系治療(評価)学といったふうに、科目を超えた横のつながりで連携的に勉強することができます。
これは自分の勉強の意外な盲点を把握することにもつながりますし、よりピンポイントで弱点の克服を行えます。
この作業は後回しにするほどめんどうですので、過去問や模擬試験を解く際に、ながら作業で1問ずつに殴り書きでタグをつけておきましょう。
とはいえ、タグが多すぎても作業が増えるというデメリットの方が大きくなってしまいますので、1タグあたりの量は1日で消化できる程度が適切です。
私が教員時代に国家対策をおこなう際には下図のようにタグをつけていました。
ちなみに運動学は、
上肢
下肢
体幹・姿勢・歩行
学習・分析・バイオメカニクス
以上4タグに分けていました。
ご参考までにお使いください。
覚えるだけでなく解く習慣をつけよう。
1日1タグを実践する道すじがつけば、後はとにかく覚えるだけ!!
その調子です、ひたすら集中集中です。
ただ覚えただけでは不充分。解くことに活かしてこその知識なので、その日のおさらいとして同じタグの過去問や参考書の練習問題を解いてみましょう。
しっかりと覚えたつもりでも、意外と取りこぼしていたり、予想外のひっかけにあっさりとかかってしまったりすることがあったのではないでしょうか。
そのような失敗の積み重ねが、失敗しないための工夫を自分で行うようにするための、重要な儀式となるのです。
ちなみに、問題を解く前に「~でないのはどれか」「誤りはどれか」などの否定形の設問に、分かりやすく囲みをいれることをおススメします。それだけでケアレスミスは減少するでしょう。
あと、ツールでおススメは(株)アイペックのリハドリルです。
何といってもスマホやタブレットがあれば、国試とアイペック模試の過去問がいつでもどこでも解けるというのが強みです。通学での移動中などの時間を有効活動できます。
これのスゴイところは条件設定で年度ごとで問題を抽出できるだけでなく、科目ではなくタグでの問題の抽出が可能という点です。
しかも成績管理機能もついており、自分の弱点が一目瞭然なのもいいですね。
料金は4,000円ですが、養成校で団体で申し込むと、さらに料金がオトクですので、担任の先生に相談してみるのもいいでしょう。
解き方のススメ。
正解!!よっしゃ!!だけではただの自己満足。
過去問も慣れてくると、だんだんと思考することがなくなり、惰性で「あ、この問題は4番が正解」という解き方をしたり、明らかに1番が正解の場合は、あとの2番以降をスルーしたりしてくることでしょう。
お分かりだと思いますが、まったく無駄な作業と時間です。
なぜなら過去問から同じ問題で同じ正解の問題など、今後二度と出ることはないからです。
ここでていねいにやっておくか否かで、後々の結果はまったく違うものになります。
方法論としては、通常の1択または2択で答えるやり方ではなく、すべてマルバツで答えていくのです。
つまり一問一答です。
正しいものはどれかと問われて、正しいものだけを考察するのではなく、その他の問題がなぜ誤っているのかを熟考するのです。
教員だった私は、よく過去問の5問の順番をシャッフルしたり、内容をいじったりして学生を試したりしたものですが、一問一答で解くクセが染みついている学生は、まったく小揺るぎもしませんでした。
あなたも丁寧な解き方で対応力をつけていってください。
実地問題だけで満足していると、思わぬ伏兵が——
冒頭でも述べましたが、試験の成否は1問3点の実地問題の正答率しだいといっていいでしょう。
しかし、試験全体の難易度を左右する要素がもうひとつあります。
それがX2問題(2択問題)です。
この問題数しだいで合格率が変化しているという事実は、決して無視できません。
国家試験対策関連でも、X2問題対策本があるくらいですから。
ではX2問題対策はどのようにすればいいのでしょうか——
それは、前述の一問一答方式の勉強法なのです。
ていねいに一問ずつ潰していく習慣が、X2問題の対応能力を高めることにつながります。
X2問題で選択の判断に迷ったら、正しいもの2択の問題の場合は、思い切って間違っているものを3つ探してみるのも手かもしれません。
1択でも2択でも、結局のところマルかバツかで考えることに変わりはないのです。
問題だけでなく、その暗示を解け‼︎
最後に、合格率の話をしましょう。
上のグラフのように、ここ10年のPT国家試験の合格率の変動は大きいといえます。OTは80%前後です。
昔に比べてPOTの国家試験は難しくなった、という声はよく聞きますし、あなたも学校の先生からそのような訓示を受けたのではないでしょうか。
確かに、消去法で正解に結び付けることができたKタイプの問題がなくなったという意味では、その通りかもしれません。
ですが恐れることはありません。
ここまで進級してくるだけの能力があるあなたが、私が述べてきた通りのことをやって、受からないはずがないのです。
むしろいたずらに難しいと自己暗示をかける方が問題です。
なぜなら、悪い暗示をかけられた学生は、ネガティブな受け入れしかしないからです。ネガティブな受け入れは、ネガティブな行動しか生みません。
ためだ、難しいから仕方ない、もう無理だ、と。
私も学生たちに暗示をかけてきました。ただし「いわれた通りにやりさえすれば、確実に合格できる」という暗示です。
不思議でもなんでもなく、そういう学生は発想と行動がポジティブです。壁にぶち当たっても解決しようという姿勢にブレがありません。
ただしポジティブなのと舐めてかかるのとは別問題です。
一ヶ月やそこらの準備で合格できるほど、甘い試験ではないことは断言しておきましょう。
最後の最後に、イチ押しの参考書を挙げておきます。
結果が出ないことも結果のひとつとして対応する
行動しなかった言い訳している暇があれば今すぐ行動する
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