POT国家試験って、今後どうなる?

POT国家試験って、今後どうなる?

2018年度の理学療法士・作業療法士国家試験で合格を勝ち取った人は、新人として働いている頃でしょう。

逆に不合格になった方は、来年の合格の決意をあらたにしておられることだと思います。

今回の理学および作業療法士の合格率・合格者数は、

資格合格者数合格率
理学療法士10,809人85.8%
作業療法士4,531人71.3%

であり、前年の国試との比較では、理学療法士は4.4%増、作業療法士は6.3%減という結果となりました。

この結果をふまえ、昨今の国家試験の傾向について述べたいと思います。


体感的な難易度

2019年の試験を受けてみて、受験生の印象はどうだったのでしょうか?

実際に受験生を対象に集めたアンケートデータによると──

PT試験を受けた方の半数が「今まで受けた試験より難しい」と感じられ、OTに至っては7割の方が難しかったと感じられたようです。

あたりまえですが、試験で出てくるのはすべて初めて解く問題ばかりです。

過去問を解くのとは違い、0から問題を理解するところから始めないといけませんし、「この試験しくじれば、1年間棒に振る」という緊張感もあいまって、3割増くらいで難しく感じるのはいたしかたないところでしょう。

ただ、ひと昔前に比べて「解く能力」が求められるようになってきているのは、まぎれもない事実のようです。


姿を消した、Kタイプ問題

私が国家試験を受けたのは1992年のことですが(遠い目)、今から考えれば、Kタイプ問題にかなり助けられていたように思います。

Kタイプ問題って何?」と思われた方のために簡単に説明しましょう。

腸管膜を有しているのはどれか.

ア、上行結腸

イ、下行結腸

ウ、横行結腸

エ、S状結腸

オ、下部結腸

①ア、イ ②ア、オ ③イ、ウ

④ウ、エ ⑤エ、オ

Kタイプ問題の場合、①~⑤の組み合わせで適切なものを選べばいいわけです。

正解は④ですが、例えばウの『横行結腸』だけ確実に覚えていれば、無条件で③と④に絞ることができ、こうなればもう5択の意味ありませんよね。

このKタイプ問題は他の資格試験でも出題を控えられるようになり、理学療法士国家試験では、第44回(2009年)以降から1問もみられなくなりました。


X2問題の台頭

Kタイプ問題とは逆に出題頻度が増えてきたのが、あのおなじみの「2つ選べ」のX2問題。

 

X2問題の解答パターンは、

4+3+2+1=10 

と、五者択一のAタイプ問題の倍もあり、しかも選択した2つのうち、1つ正解していたとしても無慈悲に全否定されるというもの。

年度ごとの国家試験の難易度は、このX2出題の増減に左右されるといってよく、昨今では、全体の10%(20問)前後で推移しています。

 

自分が受ける試験で、1問3点の実地問題でX2問題が多用されたら、ホントたまったものではありませんよねえ。。。

 


勧善懲悪でない問題の出現

基本、国家試験の問題は、誤ったものの中から正しいもの、もしくは正しいものの中から誤ったものを1つか2つ選ぶというスタイルです。

白黒ハッキリしており、私は『勧善懲悪タイプ問題』と勝手に呼んでいます(笑)。

しかし最近増えてきたのが、5つの選択肢すべてが白と黒で分かれていないもの。

例えば、

この症例で特に優先される理学療法メニューを2つ選べ

とか、

この症例で起こりにくい症状を選べ

といった問題であり、この場合、5つの選択肢すべてが正しいもしくは誤っていてもよく、より臨床力を問われる内容であることが多いように思われます。

ここ2、3年で時々見かけるようになってきました。

地味に難易度を上げる、やっかいな問題だと思います。


消えた575人 【闇深】

私が学生の頃は、国家試験の合格発表の日に、担任が発表会場に足を運んで確認し、各自に電話連絡してくれていたものです。

しかし今はネット社会、そんな迂遠なことをせずとも、厚労省のホームページで楽々確認できます。

しかも今は学校別の合格数や合格率が手軽にダウンロードできるので、ありがたい限りです。

出願者数受験者数合格者数合格率
新卒11,183人10,608人9,845人92.8%
既卒2,070人1,997人964人48.3%

ここで気になるのが、新卒(在校生)の出願者と受験者との人数の違い。

──その数、実に575人

この出願者は手続きをふまえ、10,100円の受験料も払っています。

にもかかわらず575人が辞退している。

正確には辞退させられているわけですけどね。

多くが、学校の卒業試験で及第点を取れず、卒業試験のためだけに留年するというパターンでしょう。

学校ごとの合格率は、分母が【出願者数】ではなく【受験者数】のため、明らかに合格できないとわかっている学生を、『卒業試験留年』という建前で受験させず、合格率を上げたいのが本音といったところです。

学校によっては受験者数を半数にまで絞り込んでいるところもありますが、あまり強引なやりかたは、今後は保護者とモメる原因になりそうですねえ。。。

それでもまだ次年度の国試対策を強制されるのでまだマシな方です。

強制されることのない既卒者の場合は、すがれるのは自助努力しかなく、合格率の5割を切っているのが現状です。


今後の合格率を予想する!

もっとも気がかりなのは、今後の国試の合格率。

今後は低下していく傾向にあるというのが、大勢の予想のようです。

悲観的で気が引けますが、私も低下していくのではないかと考えています。

その理由として──

 学生側の質的低下

養成側の質的低下

国試の難易度向上

が挙げられます。

学生側の質的低下

誤解のないようにいいますが、これに関しては学生側だけに責任を負わせるのは酷というものでしょう。

学生数の獲得・維持のために、入試や進級試験を形骸化させて、国試をクリアするだけの能力が不足したまま卒業に至るような所もあると一度ならず聞いたことがあります。

養成側の質的低下

養成校に課せられた必須科目に、『国家試験対策』というものはありませんが、ないという理由で、システマチックに推し進めている学校が少ないように思います。

効果的な手法をデータとして蓄積し、それを元にマニュアル化できるはずなんです。

ところが実際には、実習終了後の番外編のような扱いで担任の力量に委ねられ、結局、過去問を解かせているだけのところもあるのではないでしょうか。

国試の難易度向上

出題傾向の変化などについては前述した通りですが、そもそも難易度を上げる理由として、セラピストの需給バランスがすでに供給過多になっている背景が大きいと思います。

以下のニュースは、つい最近、厚労省で行われた会議についてのニュースですが、今後は国家試験で供給を調整する可能性は少なくないように思います。

今後『国試予備校』が増加する?

下のグラフはPT協会が示したデータから作成したPT養成校の推移ですが、学校数は維持された上で試験の難易度が上がっていくのであれば、今後、『国試浪人』の増加が懸念されます。

PT養成校数推移

私は教員時代に培った経験を買われ、国試塾の教員を手伝わせてもらっていますが、これからは既卒の『浪人生』の救世主として、予備校のニーズは高まってくるかもしれません。

私の支援によって、1人でも多くがスタートラインに立つことができればいいな、と思います。


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