【国試の戦術】Vol.2──情報の取捨選択

「ケアレスミスしないためにも、問題をよく読もう!」
──と、常日頃から学生に言っている言葉です。
必要なワードを拾わなかったばかりに、大事な点数を取り落としていては、悔やんでも悔やみきれません。
──ですが。
たまに問題を熟読したばかりに、判断に惑わされるような問題が出てきました。
たとえば下の問題。
腹膜透析を継続している慢性腎不全患者について正しいのはどれか。
- 貧血を合併しやすい。
- 身体障害者手帳を取得できない。
- 週に2回程度の通院が必要となる。
- 透析導入後は運動制限が大きくなる。
- 血液透析に比べて血圧変動が大きい。
腹膜透析とは、腹膜を通して浸透圧によって血液中の老廃物をろ過する方法です。
血液透析に比べて、ろ過が緩やかなので身体への負担が軽く、カリウム制限が緩い、1日4回の透析液の交換は自宅や会社でもできるため社会復帰が可能で、通院も月に1〜2回ですみ、身障者手帳を発行して自己負担を軽減できるという特徴があります。
1の貧血に関しては、そもそも腎不全が進行すると、腎臓で生成されるエリスロポエチン(赤血球の産生を促進するホルモン)の量が減少するため、腹膜透析をしているかは関係なく腎性貧血の状態になります。
なので1が正解ね。腹膜透析のみってひと言もいってないし(ドヤ)。
──ハァ?
じゃあもしかして「腹膜透析を継続している」ってのはオトリってことかよ!?
出題者の「してやったり」のゲス顔が脳裏に浮かぶ気がするのは、私だけでしょうか?
このように、散々読ませたあげくに、解くための必要な内容ではなかったという問題には注意が必要です。
惑わされないためには、消去法で選択肢を減らすことと、アタマを柔軟にすることが大事です。
他にもそういう問題があれば、また紹介しますね。
ではまた。
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Author:あっちゃん 投稿一覧
ある時はイラスト描き、そしてある時は国試塾塾長。本職はある医療法人で働く理学療法士。
セラピストやセラピストを目指す学生にだけではなく、一般の方にも役立つリハビリ情報を発信します。
趣味はロードバイクとジョギング。
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