【理学・作業・言語】各ライセンスの近未来を予想する❶

──昨今では自己紹介の際に、理学療法士という自分の職業を言っても、
「理学──?何ですか?何をされている職業ですか?」と聞き返されることも少なくなりました。
リハ職が正確に世の中に周知されるというのは、悪くない気分です。
しかし、2019年度始めに開かれた、『理学療法士・作業療法士需給分科会』で出された推計によると、2040年にはPOTの供給は、需要の1.5倍になるとのこと。
もっと手前の2027年には療法士の現場での需要と供給が逆転するとも言われています。
つまりどういうことかというと、今までのように資格が就活の武器にならなくなるということです。
昨今の療法士の収入などの就職条件の悪化が、需要の低下を物語っているといえます。
しかし、長年現場にいる私には、理学、作業、言語といった資格別で、すでに需要の差を頻繁に感じます。
そこで今回はライセンス別で今後の需要を私なりに述べたいと思います。
言語聴覚士
❶三職種のうちで最も希少価値が光る資格

「言語聴覚士足りねぇ。。。」
「誰か言語聴覚士紹介して。。」
「どこかに言語聴覚士落ちてね?」
病院をはじめ、どこの施設の職場長からもしきりに聞かれる悲鳴です。
それほど言語聴覚士というのは、まだまだ需要が大きく、三職種中、需給の逆転が最も遠い資格でしょう。
ちなみに言語聴覚士というのは──
【言語聴覚士】
病気や生まれつきの障害などによって、話す・聞く・食べる・飲み込むことに不自由がある人に対して、言語能力や聴覚能力などを回復させるリハビリを行う仕事
──という職業です。
最近まで私が勤めていた訪問看護ステーションでも、常勤で言語聴覚士が入職してくるや否や依頼が殺到し、あっという間に枠が埋まってしまったという経緯がありました。
私の体感でも、言語聴覚士は将来を見据えた職場選びができる資格なのです。
❷圧倒的な売り手市場

リハビリ三職種の中で、最も国家資格としての歴史が浅い言語聴覚士。
いったい何人の人が資格を取得しているのか、私もこの記事を書くまでは把握していませんでした。
下の表は、2019年のリハ職種国家試験のデータです。
資格名 | 合格者数 | 合格率 |
理学療法士 | 10,809人 | 85.8% |
作業療法士 | 4,531人 | 71.3% |
言語聴覚士 | 1,630人 | 68.9% |
少な(笑)!!
ここ10年間の合格者数をみても、1,500人前後で推移しているようです。
需給バランスから考えて、言語聴覚士の売り手市場市場は、まだまだ続きそうです。
理学・作業のように養成校が乱立しなければの話ですが──。
❸その独自性は諸刃の剣

そんなモテモテの言語聴覚士ですが、養成校でのカリキュラムは最短2年と、他の職種に比べて、費やす時間もお金もエコロジー。
しかも言語聴覚士が行う、言語療法や嚥下訓練などは高度な専門性のため、他のリハ職種が代替的に行うというわけには行きません。
そういう意味では「業務独占」に近い独自性を持っているんです。
──だがしかし。
その独自性の高さにより、逆に理学・作業の業務を代替的に行うことも困難なのです。
他の職種にできない、他の職種の内容もできない──
つまり、言語聴覚士から今の希少価値を取ってしまうと、汎用性のきわめて低い資格になってしまうんです。
❹資格にぶら下がらず、自分だけの付加価値を高めよ

さて、言語聴覚士にも売り手市場の終わりが来るかもしれません。
ほんの15年前には、理学・作業の需給バランスが逆転するなんて、私も想像もしなかったですもの。
資格に希少性があるうちに、できる範囲で自分だけの付加価値を磨いておきましょう。
例えば歯科医とのコラボ。
嚥下機能の低下を、機能回復(リハビリ)面だけでなく、口腔の構造面からもアプローチするんです。
これはまだ手がけている言語聴覚士は少ないですね。
あと、密かに悩んでいる吃音の方の個別相談も需要があると思います。
いま挙げたのはほんの思いつきですが、要は自分が先駆者となれそうな、ブルーオーシャン(未開拓市場)を見つけることが肝要です。
もちろん需要もないといけませんが。
大事なのは、常にアンテナを張り、世の中のトレンドやニードを嗅ぎとることです。
言語聴覚士まとめ

リハビリ三兄弟の末弟にあたる言語聴覚士。
その個性は兄達を凌いでおり、現在のところ、女の子たちにモテモテです。
しばらくモテ期は続きますが、今のうちに言語聴覚士を活かした新たな魅力を磨いておいた方が良さそうです。
私が関わってきた人の中には、理学療法士や看護師と言語聴覚士とのダブルライセンスを取得されていましたが、これがわりと無敵ですね。
既に資格持ちの方はトライしてみませんか?
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