【理学療法士のこれから】2025年問題

——2025年問題。
最近ではよく取りざたされているこの言葉。
あなたはこれがどんな問題か、ご存知ですか?
【2025年問題】
団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達することにより、介護・医療費等社会保障費の急増が懸念される問題
引用|ウィキベディア
とあり、日本の全人口の5%以上といわれる団塊(だんかい)の世代を、それ以下の世代だけで支え切らなければならないというメガ・インパクトが、待ったなしでやってくるわけです。
極めて由々しき事態ですよね。
理学療法士養成校の多くは、この超高齢化社会に対応するためにセラピストの需要が高まってくるという論調です。
確かに世代別で数的に最多である団塊の世代の要介護率が上がるにつれて、世間のセラピストにかけられる期待は高まり、活躍の場は与えられると考えるのが自然です。
ですが果たして、ものごとはそれほど単純でしょうか——?
2025年問題とは?
まず、2025年問題について、【団塊世代=後期高齢者】以外の要素で認識しなければなりません。
以下は人口推移の特徴です。
❶総人口の減少と、減少幅の年ごとの拡大
❷15歳未満人口を75歳以上人口が上回る
❸関東圏などの7都県を除く人口減少
❹大都市への人口の著しい偏り(上位9都道府県のみで総人口の55%)
❺75歳以上人口が平成30年時点から400万人余増加し、2,179万人となる
①~④は総務省統計局の平成29年時点のデータ、⑤は内閣府の予測です。
上の概要だけでも目をそむけたくなる未来図ですね。
ちなみに補足すると、2025年の総人口は平成30年現在より600万人減少するという予測です。
理学療法士の需要と収入のアンバランス
データが出たところで話を戻しましょう。
セラピストの需要は2025年まで安泰なんでしょうか?
私の考えですが、需要だけでいえばこれからまだまだ上がるでしょう。特に地方では深刻な人手不足になるのは必至です。
しかしセラピストの所得はどんどん下がっていくと思います。
なぜなら、現時点でのセラピストのお給料は、医療保険か介護保険から出ているからです。
それらの保険は基本的には税収によって確保されています。
その税収は現役世代の労働生産によって支払われているわけです。
しかし現役世代がこれから減少することが不可避なので、税収、つまり保険制度というパイ自体を大きくするといっても限界があるのです。
ちなみに2025年には15~64歳の世代 1.9人で65歳以上の高齢者1人を支えなくてはならないという数値も出ています(内閣府調べ)。
その状況でセラピストの活躍の場が増えたとしても、支払われるべき予算がない。
ワーキングプア化が深刻になることは、想像に難くないわけです。
バトルロイヤル待ったなし‼
世の中のセラピストはこの問題についてどう考えているのでしょう。
今から10年後の2025年問題を考えれば、これからの医療、介護報酬は下がるのが当然。その間、PTは今のペースで増え続ければ20万人と倍増する。職にあぶれることはないですが、新卒の給料は減り続け、昇給率は下がり、今、管理職のものは既得権を守ろうとする。厳しい時代になるんですよ。
— あんの たくまさ (Takumasa Anno) (@takumasa39) October 7, 2014
ちょっと悲観的過ぎなんじゃ——ってツッコミたくなりますが、この人が言い得て妙なのは、最後の「管理職のものは既得権を守ろうとする」のところです。
賃金構造基本統計調査のデータによると、そこそこ待遇のよかった時期に就職した45歳以上の平均年収は530万円以上ですが、20代は350万円とその差は歴然としています。
しかも役職の椅子に座っている人が、電車の優先座席でもあるまいし、善意で誰かに譲るはずがありませんよね。
しかもPT(協会員)人口ピラミッドは、ものすごい末広がり。
21~25歳のPT数が少ないじゃないかと思っているあなた。このデータは協会員数であることを忘れてはいけません。
国家試験合格者数からみれば、26~30歳よりも25歳以下の方が、ざっと見積もっても1万人多いんです。
対して協会の組織率の年ごとの低下をみると、入会しない新人が年々増えていると考えて差し支えないと思います。
グラフに目を戻しましょう。
41歳以上とそれ未満で線を引いてみると、ボリュームの差は歴然ですよね。
どのみち20年後には年長者が現場から退場していくわけですが、いったい何人の若者で奪いあうんですか?
完全にバトルロイヤル状態じゃないですか。
でも確かに若い世代にとっては、2025年問題よりもその後でしょうね。
理学療法士のライセンスをどう使うか?
ここまで読んでくださった挙句、トーンダウンした方は深くお詫びします。ごめんなさい。
ですが現実は変わらないので撤回はしません。
この記事の目的は、現実を冷静に受け止めて対処法を考えることであって思考停止することではありませんから。
前述しましたが、セラピストへの需要はこれから右肩上がりになりますので、今すぐどうこうということはありません。
しかし目を閉じ耳を塞いだところで、『2025年問題』という巨大隕石はやってきます。それに備えて、今のうちに準備しておくにこしたことはありません。
よく副業を行っている人を見かけますが、自分自身が理想とするライフワークバランスの許容範囲であれば、収入を増やすための最も手っ取り早い方法です。
ただし、自分の職場の規定によって禁止されていない場合に限りますが。
それ以外は、自分で訪看ステーションを立ち上げるか、保険制度に依存しない自費診療を行うかですが、いずれにしてもリスクがついて回りますが。
まだ言いたいことはありますが、また次回に回したいと思います。
まとめ
以上、2025年問題について述べて来ましたが、要点をまとめていきます。
❶ これからはリハ従事者は人手不足となるためあぶれる事は無い。
❷ 保険制度自体の予算の確保が困難となるため、セラピストの収入は減少する可能性大。
❸ 2025年問題もであるが、若手のセラピストにとってはその後の方が深刻である。
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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