【リスクマネジメント】危機管理と被害者心理

最近、世の中をにぎわせています日大アメフト部。
おそらく初めはそれほど大ごとではなかったんでしょうが、日大が手を加えれば加えるほど、一気に全国放送レベルまで悪化していった、稀有なケースだったと思います。
とにかく被害者側の学生が大事なくてホント良かったです。
こういう不手際で対処を行なっていると、スポーツに限らず、どの方面のトラブルでも訴訟問題に発展します。
それがなぜなのかを分析しつつ、どのような対応が望ましいのかを述べていきたいと思います。
リスクマネジメントとは?
❶リスクコントロール
単純にリスクコントロールといっても、いくつかの方法があります。
リスクを生じる可能性のあるものから関係断ち切ることでリスクを回避したり、「ヒヤリハット報告書」などで過去の経験を活かして事故の発生頻度を少なくします。また、危機対応マニュアルを事前に作成しておくことで、万一事故が起こった時に損害をできるだけ少なくすることも含まれます。
❷リスクファイナンシング
事故後の紛争や訴訟に対する保険・財務対策の確保のことです。昨今は裁判による賠償額が高騰していて、一度の訴訟で企業の経済的基盤を揺るがしかねません。
❸クオリティコントロール
読んで字のごとく質の向上のことです。
結局、ていねいで正確な仕事やサービスが、自らを危機から遠ざけることになるわけです。
過失によって事故が発生する原因は『すべき手順を怠る』か、『しなくていいことをしてしまった』かのどちらかですからね。
被害者側が求めるもの
おおよそは想像がつくとは思いますが、ひとつずつ挙げていきましょう。
❶原状回復
健康な身体を返してほしい。元通りの状態に戻してほしい。というもので、自分にまったく非がないにもかかわらず、損害を被った側としては当然の要求です。
❷真相究明
自分や家族が、なぜこんな目に合わなければならなかったのか、事故自体が天災なのか、それとも人災なのか、原因や経過がわからないのに起こったことについて納得するのはムチャというものです。
❸反省謝罪
過失があったのならば、反省し、率直に謝罪をしてほしいという気持ちです。
この反省と謝罪をどれだけおこなっても、事態が悪化することはありません。わざとらしいのは逆効果ですがw
逆にこれが不充分だと誠意がないと受け取られ、被害者の感情が悪化することは火を見るより明らかです。
私も過去に車を運転中、歩行者にケガをさせたことがありましたが、あくまでもこちら側が加害者であるという立場を貫き、謝罪に徹した結果、先方から人身事故の手続きは取り下げていただけた事があります。
❹再発防止
こんなことは二度と繰り返してほしくない、こんな目に合うのは自分だけで充分だという被害者の言葉は、事故のたびに必ずと言っていいほど聞く言葉です。
ただし、正しい再発防止策をうちだすためには、徹底的な真相究明が必要なことは、言うまでもありません。
❺損害賠償
意外ですが、データ的にはこの損害賠償が前述の❶~❹に比べて要求度が低いようです。ただし被害者側の感情が悪化すると、当初は賠償請求されていなかったのに覆ったり、請求額が大きくなる傾向にあります。
先方の感情に関係なく、事故によって被害者の健康を損ねたり、経済的損害を与えた場合は、可及的速やかに対応しなければなりません。
アメフト事件を照らし合わせて
今回の日大の対応でダメダメだったのは、まず上述の真相究明。
事が起こった場合、加害者と被害者の双方でかかわった人すべての聴取を行い、状況や物的証拠と照らし合わせて裏付けをしていくのが普通だと思うんです。
でも彼らがやったのは主観論の発信だけでしたよね。
挙句、自分たちがすべき真相究明を関東学生アメフト連盟にされてしまってては、もう目も当てられません。
そのうえ反省謝罪も被害者側から指摘されて始めて直接謝罪に行っているようでは、私が被害者学生の父親でも『絶許モード』になろうというものですよ。
とはいえ、私も批判ばかりではなく、このケースから自分自身の何かしらの習得にしたい(酷すぎてあまりならないと思うけど)と思います。
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