折衷案の意外な落とし穴——

折衷案の意外な落とし穴——

昔から『三人集まれば文殊の知恵』と言いますが、これは凡人でも3人が協力すれば、すばらしい考えが浮かぶというもの。

多くの場合はその通りと思いますが、まとめ方次第では文殊の知恵どころか、まったく使えないものになってしまう事を、私は身をもって知っています。

そこで私が以前働いていた職場での失敗談を挙げたいと思います。

リーダーや主任以上の方、必見です。

 


私は当時、広報担当を任されていました。

ある日、所属事業所の地域での知名度を上げる目的で、ケアマネージャー対象の研修会を企画していました。

いろいろな懸案の中でも最も重要なもののひとつが研修会のキャッチフレーズ。

場所と時間と同じく、集客に大きく影響するので、慎重に決めなければいけません。

ミーティングを開き、講義内容の方向性が定まると、次に私は看護師とセラピストからキャッチフレーズを募りました。

それぞれの良い部分を採り入れて体裁を整え、ミーティングを開催しましたが、結果は華麗なる大コケでした。

集客が絶望的だっただけでなく、キャッチフレーズ発案者であるスタッフ全員から総スカンを食らってしまったのですが、何故だかわかりますか?

 

大切なのはできるだけ足すことではなく、できるだけ足さないことである。

【折衷案】

二つ以上の案のよいところをとり合わせて、一つにまとめた案。相反する案の中ほどをとって、折り合いをつけた案。

デジタル大辞泉

つまり提案者双方の顔も立てるために、有効な調整方法のはずなんです。

なのに何故失敗しただけでなく、スタッフの不満を生んでしまったのか——

 

結局私は、折衷案というものを単純に足し算で考えていたんですね。

で、最終的に『ペンパイナッポーアッポーペン』という意味不明なものを作り出してしまったわけです——。

例えが悪いですか(ビミョーに古いし)、では今のは忘れてくださいw

 

私はそれぞれの持ち味だけをピックアップしてフュージョンした結果、『どんぶり全部乗せ』を作り出してしまったのです。

鰻丼もカツ丼も天丼も親子丼も、ひとつずつなら食べてみたいと思いますが、一緒くたにしてしまうと、まったく個性が際立たず、どちらかというとゲテモノの類になってしまい、それを見せられた人の食指はまったく動かないですよね。

 

作り手(スタッフ)の視点にも立ってみましょう。

あなたは、自分が精魂込めて作った鰻丼の上から、目の前で他人の手によってカレールウをかけられたらどう思いますか?

私は恐ろしいことに善人ヅラでそれをやってしまったのです。

そもそもの「集客を見込めそうなパンチのあるキャッチフレーズを打ち出す」という目標は、私はこの時完全に見失っています。

スタッフひとりひとりの顔を立てるつもりが誰一人の支持すら得られないとは、なかなか皮肉です。

 

仕事を任された時点で腹をくくれ!

私がプロジェクト担当として致命的に足りなかったのは何でしょうか。

それはずばり、「最後は自分が責任を取る!」という覚悟です。

なぜなら、覚悟のある人は多少独善的になる危険性はありますが、際立ったものを作り出す可能性があるからです。

八方美人が生み出すのは、周囲の不満や倦怠感だけというわけです。周囲の不満を感じ取って本人までも不満という奇妙な状況です。

 

あなたはどうですか?

もしかつての私のように全方向に対していい顔をしようとしているなら、かなり危険信号です。

結局全員に対してはいい顔なんてできないんですから、周囲の協力に対して全力で感謝しつつ、本当の目的に対して先陣に立ってすすむべきでしょう。

そうして初めて、あなたのことを好きか嫌いかを別にして、仕事への姿勢は認めてくれるはずです。

 

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