新幹線のバリアフリー事情についてもの申したい。

新幹線のぞみN700Sデビュー!
2020年7月1日、東海道新幹線のぞみN700系がフルモデルチェンジし、N700Sがデビューしました!
私は教員時代、前ののぞみ(N700A)をよく利用し、その完成度の高さに、もうこれ以上の大幅なバージョンアップはないだろうと思っていました。
しかしN700Sにみられる、座席の一席一席にいたるまでのこだわりようは、もはや『N800 系』と称してもいいのではないかと思ってしまいます。
──とはいえまだ乗ったことはないんですけどね(笑)。
このコロナ禍が過ぎ去った暁には、思う存分堪能したいと思います。
ちなみにN700Sの「S」は、Supreme(最高の)の頭文字だそうです。
さて、飛躍的な進化を遂げた新のぞみですが、バリアフリー化の方は、まだ発展途上のようですね。
今回は新幹線のバリアフリー化について焦点を当てたいと思います。
お粗末すぎる新幹線のバリアフリー化
2019年末のニュースで、下のようなものが目を引きました。
今やスマホさえあれば、思い立ったらその日の空席の照会や予約すらできてあたりまえの時代。
それが車いすスペースの予約に限っては、前日までに、電話か駅の窓口(!)でしか予約しなければいけないという。
さらにこの車いすスペース、ありえないほど快適性からは程遠いようなんです。
先ほどの写真でも、窓側の車いすスペースの確保は無理っぽそうでしたけど。
以下はそれ以外の問題点──。
- 車いす対応スペースなのに車いすを設置すると、通路が狭くなって他の客の通行がしにくくなる。
- 自動ドアに近すぎ、少しの動きでもドアが反応するため、身じろぎすらためらわれる。
- 1編成あたりの車いすスペースが普通指定席とグリーン車の2つしかない。
もうね、バリアフリーという言葉に対して謝れといいたい。
予定では、東京オリンピック・パラリンピックを開催するわけですから、それまでには恥ずかしくない環境を整えてほしいわけですよ。
まあ国交省も、対策を考えているようですけれど、それはまた後述していくこととしましょうか。
N700Sは車いすスペースに変化。
国土交通大臣の一括によってか、2020年の5月になってようやくインターネットで予約することが可能となりました。
さらに7月からは、以下の記事のように増設となったようです。
さすが大臣の言葉の重みは、一味違いますなあ。
のぞみN700Sは、増設だけでなく確保されるスペースも改良が加えられているとのことですが、当の赤羽大臣はというと──
国交大臣「え何?なにか変わったの??」
ちょっと大臣、その言い方はいくらなんでもご無体な。
結果が多少不充分だったとしても、JRも頑張ったんだから、省庁トップとしてはもう少し労いの言葉があって然るべきではないのかなと思うのですが。
──というわけで、さっそく拾ってきたN700Sの車いすスペースの画像がこちら。
全っ然変わってねえじゃんよ。
あいかわらず通路は狭くなるわ、自動ドアに近いわで、これじゃターンすらできないでしょ。
バリアフリー化がこれでは、せっかくののぞみのモデルチェンジも、画竜点睛を欠くこと甚だしいと思うわけです。
ホントになにが変わったのか、逆に教えて欲しいわ。
バリアフリー化対策委員会設立。
やはり次回のオリンピック開催国としては、現状では非常にまずいだろうということで、国土交通省では「新幹線のバリアフリー対策検討会」が、2019年末に設立されました。
委員会の基本方針は、以下の通り。
- 車椅子に乗ったままでも車窓が楽しめるよう窓際に面していること
- 車椅子が通路にはみ出ることなく通路の通行を阻害しないこと
- 大型の車椅子の方もグループで利用可能であること
- 車椅子使用者の移乗用席、介助者用席、同伴者席が近くに配置されていること
まだ案ですが、予定ではのぞみ700系の車いすスペースは、4台から6台分に増量されるみたいですね。
クリックして拡大
この図のとおりにいけば、車いすのキャパシティ増だけでなく、窓側か通路側かの選択も可能となりますね。
通路の幅は車いすの大きさ次第ですが、通常席の通路くらいは確保できそうです。
海外の鉄道
トリビアですが、『バリアフリー』という言葉は、じつはバリバリの英語圏では使われていないようですね。
あちらではaccessibilityとか、universal designがポピュラーなみたいです。
さて──
私は何かにつけて「我が国に対し欧米では~」という論法が大キライなんですが、あまりにも我が国のバリアフリー事情がショボいので、欧州ではどの程度すすんでいるのか、ちょっと興味がわいてきました。

ドイツ高速鉄道ICE

フランス高速鉄道TGV

日本新幹線のぞみ
多少悪意をこめて書くと、こうやって並べてみると、ヨーロッパと日本ではコンセプトが違うように思いますね。
ヨーロッパ鉄道は旅を楽しむ。
新幹線は輸送の対象。
──快適性は比べるまでもなく、まさに月とスッポン。
今回の新幹線バリアフリー問題は、オリンピック・パラリンピックの東京開催により噴出しました。
でもまあ、結果的にクローズアップされてよかったですね。
今後もこういう問題をピックアップしていきますね。
それでは!

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