福祉用具の正しい選び方。

福祉用具の正しい選び方。

介護保険が施行されて20年──

高齢者のQOL維持のために、介護保険は不可欠なものとなりました。

その介護保険サービスの中でも、ほとんどの方が福祉用具サービスを利用されていることでしょう。

しかし必要と判断して導入した福祉用具なのに、何回か使っただけで、結局押し入れの肥やしになったという話をいまだによく聞きます。

なぜこんなもったいないことになってしまうのか──?

理学療法士の私が、福祉用具選びで陥りやすいワナを明かしつつ、失敗のない選定の方法を伝授いたしましょう。

あなたが相談しているのは真の福祉用具のエキスパートなのか?

利用者が福祉用具の選定で関わる職種はかなり多様です。

ケアマネ、訪問看護師、リハ職種、ヘルパー、福祉用具業者などなど──。

この中であなたが福祉用具について相談しているのはケアマネさんが多いのではないでしょうか?

確かにケアマネージャーは利用者と福祉用具業者との橋渡しをするのが業務のひとつではありますが、『精通』しているとは限りません。

その人その人にとって適切な福祉用具を処方するには、以下の要素が重要になってきます。

  • 身体の構造や障害について詳しい
  • 福祉用具について詳しい

ケアマネさんや福祉用具業者は、確かに福祉用具については1日の長があるでしょうが、身体機能や障害についてエキスパートではない可能性があり、そういった知識については、理学療法士や作業療法士などのリハ職種が精通しています。

しかし肝心のセラピストが福祉用具を使うにおいて、介護保険下での決まり事などを知らなければ、導入は絵に描いた餅になってしまいます。

福祉用具の功罪。

ジャッジ

福祉用具にまつわる話で、とくに私が属するリハ職種から聞かれる言葉です。

特に必要でない福祉用具を過剰に利用するあまり、かえって機能低下をきたしてしまった。

──というもの。

確かに「過剰な福祉用具導入」=「物的な過介助」となってしまい、廃用症候群を引き起こしかねません。

これを『過用』といいます。

対象者のほうで依存心が芽生えてしまうと、過用状態から抜け出すのは容易ではありません。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」の典型例ですね。

もうひとつ、福祉用具の選定で避けるべきは、『誤用』という状況。

これは対象者の身体のサイズに福祉用具がフィットしていなかったり、もの自体が障害に適応していないために、役に立たないどころか、かえって機能を低下してしまう現象です。

われわれ福祉用具を提供するサイドの人間は、これら『過用』と『誤用』に陥っていないことをチェックしなければいけません。

しかし無条件で福祉用具がよくないという考え方は、いささか短絡的なのではないでしょうか。

この考え方は、意外とリハ職種からもきかれることがあるんですよね。

これはかならずしもリハビリ職種が福祉用具に精通しているとは限らないという証左といえるでしょう。

その福祉用具は「ないと困る」モノですか?

福祉用具を一切抜きにして、あなたは買い物をしたときに、店に置いてあった商品に一目ぼれをして思わず買ってしまったことはありませんか?

いわゆる「衝動買い」というやつですね。

しかしあれだけ強い衝動によって買ったにもかかわらず、ほとんど使われずに今もホコリをかぶり続けているものが、あなたの家にもあるでしょう。

──なぜそんなことになってしまうんでしょう。

それは、「ないと困る」ではなく、「あればいいな」の判断で買ってしまうからです。

「あればいいな」というのは、「なくてもいい」というのと表裏一体であり、普通の衝動買いであれば、物欲を満たしたり、ストレスが解消できるというプラス要素も否めません。

しかし福祉用具となると、自己負担以外の9割は税金によって賄われているので、決してムダにはしたくありませんよね。

逆に自己負担額が1割という安心感が裏目に出て、気が大きくなり判断が甘くなることもあるので厄介です。

福祉用具の選択の際には、本当にないと生活が立ち行かなくなるのかどうかも、判断材料にしてください。

可能であれば「お試し」を利用しよう!

ではどうすれば福祉用具を正しくチョイスできるのか──?

どんなものでも絶対というものがありませんが、導入の前に1週間程度、お試しで使用できるものもあります。

かならずしも希望のものがお試し可能とは限りませんので、事前にケアマネや福祉用具業者に相談してみましょう。

最後に──

福祉用具は用途にピッタリとハマれば、魔法のように生活が変化するツールですが、逆に外してしまうと生活活動の足を引っ張るだけでなく、自宅内の景観を損ねるという大きなデメリットをこうむってしまいます。

レンタル品は返却すれば問題解決ですが、購入品の場合だと取り返しがつきませんので、前述したメソッドでの熟慮が必要です。

もうひとつ。

値段を判断の材料にしないこと。

高くても、本当に必要な物かどうかで判断してください。

正しい福祉用具の選択が、あなたの人生の質を高めますように──

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